世界的に人気を誇るスーツケース、アタッシュケースとして有名なゼロハリバートン
サイズバリエーションも豊富で、スーツ姿にマッチするサイズ、
カメラマン御用達のカメラケースや女性でも合わせられる小さなサイズ、勿論旅行用スーツケース
これらを自分なりのオリジナルカスタムを施すユーザーがかなりいらっしゃる。
以前、知り合いの方からコレを鏡面にしたいとの相談を請け、リクエストに応えるべく挑戦してみた。
まず、当ケースはアルミ製。アルミ製品は世に出回っている物ほとんどすべてのものにアルマイト加工が施されている。
アルミ地肌は表面が酸化され続け、鉄のような赤錆みたいに発展することはないが、所謂腐食が進行する。
コレを防ぐべく、強制的に?人工的に酸化皮膜を表面に施すことをアルマイト処理という。
赤青、黄色、無色透明は無いそうだがありとあらゆる着色ができるそうで、これがまた固く、厚い。
このゼロハリバートン スーツケースを鏡面仕上げとする場合、まずアルマイト皮膜を除去、剥離をする必要があるのですが、
アルマイト皮膜は”酸化皮膜”
酸の反対は”アルカリ”です。
お肌に優しいのは”弱酸性”(笑)
なので、酸化皮膜を除去するにはアルカリ薬品に浸せば良いわけです。
しかしながら、アタッシュケースやスーツケース、これらは内装があるため薬品に浸すことが出来ません。
(後に、内装の再制作から請け負うランドセル職人と提携したことで、内装取り外し、薬品剥離での工法となった)
では、どうするか。。やはり研磨で強制的に皮膜除去するしか無いわけです。
一般のユーザーさんがグラインダーで磨き上げているのと、同じ工法です。
しかし、我々は本職なのでグラインダーのオバケで磨き上げます(笑)
ハンドルなどは内装を少しめくれば、ビスを抜くことが出来ます。
物によってはエンブレムや鍵もありますが、理想は付属パーツ全て分解することが望ましいです。
しかし、再度組み上げることが困難な場合、キッチンテープなどでマスキングしましょう。
マスキングを終えたらアルマイト剥離を兼ねた磨きとなるわけですが、ここで一つ問題が
ビンテージと言われる古い年式のケース、こちらは蓋のモールが平坦でケースと”ツライチ”なのですが、現代のモデルはモールがやや出っ張ってしまっています。
この段差があることで、隅々までアルマイト除去~鏡面にするのに困難になってしまします。
もし、ご自身で鏡面を目指すのであれば、ホームセンターなどでグラインダー用の”カップブラシ”というワイヤーを束ねた物で隙間をこする必要があります。
表面がやや荒れてしまいますが、アルマイトを除去しなければ、鏡面部位との色味の違いが具合悪い仕上がりとなってしまいます。
ケース底辺にある、脚やキャスター部位の凹凸部位もコレでこすってしまうことをお勧めします。
コレを踏まえた後は、番手320番はこちら
(200番がより傷除去などには向いていますが、粗目を除去するのに、工程が増えてしまいます)
で表面を平坦に磨き上げましょう。意外と簡単にアルマイトは剥げるかと思います。
しかし、ここでも注意が必要で、広く大きな面をグラインダーなどの小さなもので全体を磨く際、狭い範囲を集中して磨いてしまう方が多く
その為、最終的に表面にウネリが発生してしまいます。
ですので、磨き始める際には、広く、軽めに全体を少しづつ磨き進めるのが綺麗に仕上げるコツですので、ご参考になさって下さい。
この番手で全体を整地し終えたら、次は同じサンダーに通称“トリポリ”という茶色い研磨剤を塗りつけて同様に表面を整地します。
この工程で、表面に艶が出ることが確認できると思います。
コレを踏まえた後は、フェルトで出来たサンダーバフに白い研磨剤“Sライム”を塗りつけで同様に磨き上げ、
前工程のペーパー目(磨いたスジ)が除去出来ます。ここまでくればほぼ、ケースにご自身の顔が反射されていませんか?(笑)
、、でこれで十分な方はここまで、
しかし、より鏡面とするにはコットンディスクに通称青棒(青くない笑)
を塗りつけて全体を磨き、仕上げます。この工程で目に余る渦巻状の磨き線 コレを目立たなく仕上げるには少々こつと技が必要となりますので
どうすれば、目立たなくなるかご自身でグラインダーの向きを変えてみたり、立ててみたり横にしてみたり工夫してみて下さい。
これまで、ゼロハリバートンのオリジナルハンドルの制作、内装を張り替えて世界に一つだけのケースをいくつか制作、販売させて頂きました。
しかし、正直なところあまり商売としては成り立ちませんでした(笑)
まず、リーダーが決めた販売価格がかなり高めの設定に拘った事と、、
あと何より、このケース。。
RIMOWAなどと比べると重いんです。それに牛革の内装作り込んだことで更に重くなってしまった。。
これは実用品というより、観賞用ですね(笑)